前日の大雨がウソの様に晴れ上がったこの日は、「第40回観音の里ふるさとまつり」とあって朝の高月駅前は大勢の参拝者でいっぱいの賑わいです。大半の方は周遊バスか巡回バスによる霊場巡りなのですが、その中でテクテク旅の巡礼には12名の参加者で静かに出発しました。このコースは伊香三十三ヶ所観音霊場のうち、7から9番と11番の4か所の札所巡りです。最初の7番大円寺(高月観音堂)も地元の世話方により護持されてきたお堂で、千手観音様について丁寧な説明をしていただきました。8番宇根冷水寺の11面観音座像は「鞘仏」という胎内仏を宿される珍しいお姿で、胎内仏資料館ではその数奇な由来のお話を伺いました。途中、大杉のある春日神社に立ち寄り神仏を守ってきた地域の話題にも及び、西阿閉(あつじ)の9番竹連寺では集会所をお借りしての昼食タイムの後、ご本尊のやはり数奇な由来の説明を聞き、境内の無患子(むくろじ)の実に興味が向くと、「もってけ、もってけ」の言葉にポケットにしまう。いよいよ最後の11番西野正妙寺は11面千手千足観音様とあって、巡礼の足にも力がみなぎり巡回バスや自転車組にも引けを取らずに到着。薬師堂での解説には、琵琶湖畔の埋没集落伝承の一つ、阿曾津千軒の話にも及び仏様と集落の古い歴史を偲びました。ここから高月駅への帰路になるのですが、ご開帳されていない10番札所や神社、古墳などを見ながら無事5時間の巡礼旅を終えることができました。