12月12日 連続講座 番外編 「観音の里のホトケを守る心」

連続講座7回の番外編として、「守る心」「地域で如何にして大切に守り継がれてきたか?」を観音の里の心の面からの講演をしていただきました。
講師は高月観音の里歴史民俗資料館の佐々木悦也先生90名近い人が熱心に聴講されました。

長浜の観音文化振興から始まり戦火をくぐり抜けたホトケたち、そして湖北の観音信仰について、井上靖の「星と祭り」の主人公(架山)の思いで締めくくっていただきました。

十一面観音というものに架山が惹かれたもう一つの理由は、それが集落の人々に守られ、何とも言えぬ素朴な優しい敬愛の心に包まれているということであった。
利益にありつこうといったそんな気持ちは、みじんも十一面観音に奉仕している人々には感じられなかった。・・・・・・ただ愛情深く奉仕し、敬愛の心をもって守っているとしか思われない。
・・・自分たちが守っている観音様を褒められ時、お堂の隅に座っていた女の人たちの顔に現れた優しい笑いを忘れることはできなかった。その笑いのことを思うと、心が何とも言えぬ優しくきよらかなもので満たされるのを感じた。そうした女の人たちの心の中にあるものを、信仰と言っていいか、どうか知らない。信仰であってもいいし、なくてもいいと思う。信仰でなかったら、信仰というものになんの遜色もない別の価値観を持ったものであるに違いないのである。(星と祭りより)